| ■ブラジル野球アテネへの挑戦 |
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10/27〜11/12までブラジル野球連盟からの要請を受け、ナショナルチームのコンディショニングコーチ(PREPARADOR
FISICO)として、パナマで行われたアテネ五輪・アメリカ大陸予選に帯同しました。
今回の大会は決勝進出2チームがアテネ五輪出場の切符を手に入れられるとあって、白熱した戦いが予想されました。当初13ヶ国で争う予定の予選が、大会直前にベネズエラ・ドミニカなどが辞退し、更に大会が開幕してからバハマの辞退で結局9ヶ国になり、少々寂しい大会になりました。これも中南米諸国の経済状況悪化が招いた結果だったようです。
そんな中、事前に行われたキューバでのW杯で7位という好成績をあげ、投手でベストナインを獲得したクレーベル・オジマ選手を中心にブラジルチームは選手、関係者全員が熱く燃えていました。 |
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| ■ブラジル野球界の夢 |
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ブラジル野球界・長年の夢、『オリンピック出場』。
ブラジル野球の素晴らしい所は、ベクトルが全てその方向を向いているところです。
その夢に向かって野球連盟が先頭に立ち、国内で頑張る選手、日本で戦う選手、アメリカにチャレンジする選手全てが一つになり、それぞれが技量を伸ばすことによって国全体のレベルを上げようと日々努力しています。 |
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| ■世界を駆け巡ったアメリカの敗退 |
何と言ってもアメリカ大陸予選での大きな出来事といえば、みなさんご存知の通りアメリカチームの敗退ではないでしょうか。
負ける前日にブラジルチームと7回制の変則的な練習試合をしましたが、調整中の投手を使ったにもかかわらず、相手打線に元気がなくあまり脅威に感じませんでした。 |
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| ■ブラジルの戦い |
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ブラジルは、コロンビア・パナマ・ニカラグア・アメリカ(グループB)と同じグループに入りました。この中で1チームだけが落ち、残りの4チームが決勝トーナメントへ進出する仕組みです。
ブラジルの作戦では、力が一番劣るとみられたコロンビアに初戦で勝ち、早々に決勝トーナメント進出へ確定する予定でした。が、不覚にも4−5xのサヨナラホームランで負けてしまい一様に暗いムードで戦い続けることになりました。
第二戦のパナマにも負け、2連敗の嫌なムードで迎えたニカラグア戦、ブラジルにクラウディオ・ヤマダ投手という救世主が現れました。
マウンドでの落ち着きは素晴らしく、投球・フィールデイングともに冴え渡り先頭打者に打たれたヒット1本のみでニカラグア打線を完封し3−0で勝つことができました。
(その後、予選での最優秀投手に選ばれました。)
予選最終戦のアメリカ戦は、ニカラグアの予選落ちが決まったために練習試合となりました。(1−4・負け)
休養日を挟まずに行われた準々決勝は、宿敵キューバ。
先に行われたW杯でも9回の表にブラジルチームが勝ち越しホームランを打ち1,200万人のキューバ国民の心臓が止まりそうなったそうですが、3−2になった直後の裏にキューバの4番、ケンドリー・モラレス選手にサヨナラ2ランホームランを打たれ負けてしまいました。
その一件があったため今回、キューバチームはエースをたて全力で勝ちに来ました。
試合は6回に均衡が破れ、4本の長打で4点を入れられ、終わってみればエース・ベラに散発3安打と押さえ込まれ、ブラジルの夢は潰えました。
見事出場権を獲得したのはキューバとカナダ。結局、ブラジルはアメリカ・パナマ同様にベスト8でこの大会を終わりました。
キューバは2大会ぶりの金メダルを目指し、カナダは‘88・ソウル五輪以来16年ぶりの出場で気合が入ることでしょう。 |
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| ■雨・雨・雨 |
各国にとって予選での最大の敵は、雨だったかもしれません。
毎日決まったように夕方から降り出す雨のせいで日程が順延したり、休養日に振り替えられたりと各国大幅に予定が変更しました。
ブラジルチームもパナマ戦・20時からのゲームに合わせて3時間前に球場へ行ったところ、15時から行われていた前のゲームがまだ1回途中。どうしたことかと思えば、途中2時間近く雨で中断し、先程試合が再開したとのことでした。
ホテルを出発する前にこのような連絡が無かったことで『アウエーの洗礼か?』と、頭をよぎりましたが10分後にパナマチームも到着し、お互いそのままのんびりムードで2時間待ち。結局、再び降った雨で試合は中止になりました。
そのような状況なので、今回は「雨を見方にできたチームが出場権を獲得するだろう。」と、言われていました。 |
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| ■祖国のために戦う選手達 |
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今回の予選には、日本のプロ野球界に在籍していた選手が自国で頑張っている姿も見られました。
パナマの4番 ・オバンドー選手 (元日本ハム)
アメリカのDH ・ヤング選手 (元横浜ベイスターズ)
カナダの主軸 ・ベッツ選手 (元ヤクルトスワローズ)
カナダの主将格 ・デューシー選手 (元日本ハム)
などなど皆、国のためにプライドをもって戦っている姿がとても印象的でした。 |
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| ■花火事件 |
| 開会式や試合を彩る演出として打ち上げ花火が盛大に行われましたが、パナマ対アメリカの試合前になんと!?この花火が超満員の客席で暴発!! 重軽傷者十数名を出す大惨事となりました。日本であれば没収ゲームになりかねない事態でしたが、何も無かったかのように試合が開始されたのにはすごく驚きました。 |
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| ■強制帰国 |
キューバの若き主砲、ケンドリー・モラレス選手が大会期間中に帰国しました。
聞いてみれば亡命する噂が流れたため、それを恐れてキューバ政府が彼を強制帰国させたようです。W杯でもブラジル戦で劇的なサヨナラホームランを打った選手だったので、
彼のプレーが見られないのはとても残念でした。
つい先日、シドニー五輪で活躍した160キロ投手、マエルス・ロドリゲス選手が亡命したのでキューバ政府はとてもナーバスになっていたようです。
今大会でも選手と球団を仲介するたくさんのエージェントが選手に目を光らせていました。「自分と契約すればいい条件で球団と交渉できる。」と、近寄ってきます。
日本の場合と違い、選手もその辺は慣れたもので舞い上がるような選手は誰一人いなく、自分を見失うような選手もいませんでした。 |
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| ■振り返って |
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今回、約3週間ブラジルチームに帯同し感じたことは、『情熱のあるところに道は開ける』
と、いうことです。ブラジルは『オリンピック出場』に向けて今、国をあげて立ち上がろうとしています。2007年のパン・アメリカン大会(日本におけるアジア大会のようなもの)がブラジル・リオデジャネイロで開催されます。そのときにブラジルはメダルを獲得しようとプロジェクトが動こうとしています。
国産の野球道具が無いブラジルが、ここまで世界のチームと戦えるのは、日本にとってとてもいいメッセージかもしれません。お金を出せば何でも買える日本。物を大事にしない日本。このような恵まれた環境にいては、ハングリー精神を養うのは難しいのが当然です。情熱が欠けているように感じるのもそんなところからきているのかもしれません。
もちろんブラジルチームにも課題はたくさんあります。
予選1位で通過したキューバに追いつき追い越すには、彼らのように常に冷静でいられる精神的なタフさが必要です。彼らもW杯の疲労が残っていたにもかかわらずゲーム終了まで自分たちの力を信じ、頑なにキューバスタイルを通し勝利をさらってしまうところは感心させられます。
スポーツはその国の文化を反映します。ブラジルにはブラジルのスタイルを作る必要がありますが、常にそれらを築こうとするブラジル野球界は情熱に満ち溢れています。
成績を伸ばしているブラジルは今後も順調に成長していくでしょう。
『情熱のあるところに道は開ける』、ブラジルに『オリンピック出場』の日は必ずやってくると信じています。
今回、パナマとアメリカが早々に敗退してしまい、パナマ国民の予選に対する関心が一気に減ってしまいました。その程度で止まればよいのですが、来年のアテネ五輪、その先の野球人気が低迷するのではないかと心配です。
野球が永遠にオリンピックの正式種目であり続けることを信じて今回の報告を終わります。 |
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| 渡部 拓 |
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| ■おまけ |
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パナマといえば、皆さんご存知の通り『パナマ運河』が一番有名でしょう。
もちろん最終日にタクシーを走らせ行ってきました。
到着してまもなく、その日一番の大きな船(中国船−通行料、約800万円)と日本の船が通るところは、その大きさと祖国の船とあって大変感激しました。大西洋から太平洋へと運河を抜けていった船は想像よりも速く移動しあっけないものでもありました。 |
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